ロバート・E・リーは1866年にインディアナ州のニューアルバニーで建造された川用の蒸気船(リバー・ボート)です。
1800年代初頭、蒸気機関の登場でアメリカ大陸のミシシッピ川流域は繁栄の時代を迎えました。
ミシシッピ川は支流のミズーリ川を含めると6000km近い長さと広大な流域を持ち、アメリカ大陸の開拓時代には大陸を縦断する交通の要として栄えました。
1800年代、南北戦争を挟んで下りは北部の工業製品、上りは南部の綿花、穀物等を輸送し、中には移動する劇場のショーボート等も登場してリバーボートはその全盛期を迎えます。
しかし当時は蒸気エンジンの材質や構造、運用で未発達な部分が多く、過燃焼での船火事、ボイラーの過加圧による爆発事故が頻発していて、その優雅さからは伺えない多くの犠牲者も出しておりました。
そんな中ロバート・E・リーはそれまでのリバー・ボートの集大成として、豊富な装飾と欧州産の上質な家具、シャンデリア等の豪華な内装、60もの個室とその使用人用の別室、保育園等の豪華なキャビンを持っていました。
また性能的にも優れ、ライバルのナチェッツとの記録争いではニューオーリンズからセントルイスに至る行程を3日 8時間14分の記録で勝利しています。
(積荷の有無や霧の中での運行等・・・かなり反則っぽいところも見受けられますが・・・)

1882年9月30日早朝、ニューオーリンズから北部に向かう途中、調理室付近から出火。
積荷の綿500俵に引火して激しく燃え上がりましたが、船長の指示ですぐに近くの岸辺に乗り上げ、犠牲者を最小限に留める事が出来ました。
出火原因は不明とされましたが、放火の疑いも有ると言われています。
(一見のどかな世界に見えますが…利権争いや各種組織が絡んで、結構荒っぽい状況だったようです。)
 キットはレベルのノンスケール製品で、かなり古い時代に作られたクラシック・キットです。
縮尺は・・・だいやい1/270くらいでしょうか。
千葉在住の某氏から譲られたもので(押し付けられたとも・・・気が付いたら持たされていた!)、ボックスなどは古いレベル特有の厚くて硬い懐かしいタイプです。
部品は多層構造の甲板が何枚か入っていますが、まぁ・・・経年劣化のせいか、どれも酷いしのりです。
これは船体を基準に無理やり合わせてしのりを戻す方法で組んで行きましたが、経年でその内バリッと割れるかも…。
船体は色々考えてW・Lにするべく、プラ鋸でカットしました。
甲板の凸彫の板目を木目が無くなるまでペーパーで削ります。
一段目には荷物、アンカー、他大きなものが色々がモールドされていましたので、こちらは甲板ごと切り取ってからプラ板で塞ぎました。
削っていてわかったのですが甲板が面一ではなく、あちこち引けたり盛り上がっていたりしてなかなか磨きが進まず、彫刻刀セットを新たに購入しました。
平刃で削りだしましたが、慣れてないので余計なところまで彫り込んでしまってあちこちパテがけの羽目に・・・・。
木甲板が4層もあるので・・・もう大参事です。
甲板がツルッとなったら板目の彫り込みです。
鉛筆で線を引いたのちに先日買ってきた彫刻刀で筋を彫ります。
今まではデザインナイフでやってましたが、鋭すぎて曲がったり食い込んだりしてちと厄介なものでしたが、彫刻刀の方は意外と直線が引きやすく良い塩梅です。
で、その後はラインチゼルで彫り直しです。
いつもはチゼルで出たバリ状の屑をペーパーで磨いて取ってたのですが、それだとせっかく引いた線が埋まってしまうので困っていたのですが、やはり彫刻刀セットの平タイプのですっと削るときれいに取れてこれもなかなかの感じになってます。
 壁になる部分には、大量の小窓、飾り窓等があるのですが・・・
そのほとんどがバリで埋没。
大きいのは割とナイフなんかで削れますが、問題は1o角以下の小窓。
バリもしっかり流れ込んでいて、窓なんか最初から有りませんよ〜みたいな厚さで覆っていまして、ナイフもなかなか刺さらず、糸鑢でこすったらあえなくポキッと折れてしまいました。まぁ、これも忍耐で処理して行かなくちゃなりませんね。

甲板塗り分けです。後で墨入れすることを考えてちょっときつめに塗り分けた後、茶墨を入れてふき取り。
最近は瓶の底にたまったドロっとしたのを擦り付けるように厚塗りして乾燥してからふき取っています。
はっきりと甲板の板目が出てくると・・・・いや、これは酷いもんです。ここから少しずつ修正ですね。
最上階のデッキから組み上げ。
壁部分は上下別パーツで真ん中に合わせ目が来る古代レベル特有の異常分割・・・・。
パッチリと合うのならいいのですが…角型窓が全部ずれていてその修正にパテまで動員して大わらわ!
パテ処理の後磨いてからナイフで縦の板目を彫り、黒墨で汚し。
で、次々に出てくる部品、あちこちにヒケやら湯が入ってないところがあって、都度パテの出動です。
進まないッたらありゃしない。
パテやら磨きやらでガタガタになっていた窓の補修。
エバーグリーンの05.x0.5を赤く塗って切り出し、窓に合わせて枠にしました。
手作業なので、近くで見ると・・・・グダグダになってますけど。
まぁガタガタの窓枠よりは良しとします。
そろそろ下甲板からの組み上げになりますが、この辺もなんだかアクロバチックな状態になっており、先が思いやられますね。
 あちこちいじりながら二段目前部の甲板を組み上げ・・・・いや〜ひどい目にあいました。
危惧していた通り、前後に湾曲した甲板は全然合ってはくれず、前を抑えると後ろが浮き上がる!また接着面は殆どステーしかなく、強く抑えるとバキッと折れそうに…。
なので何か所かづつゼリー状瞬着で接合しながらペットボトルの重しを乗せてなじむように奮戦!(3回失敗しました)
甲板を積層して組み上げていくのですがステーと同じ感じで、手摺の縦部分がそのまま柱になってたりしてもう大変!
柱だけならうまく組めばサラッと行けそうなのですが、手摺部分がぶっとく、バリがバリバリ?で削るだけで多大な時間を消費してしまいます。
まぁ物が物なので、あんまり細かいこだわりを持って作ってはいませんが、最低限の見栄えは必要だろうと・・・無駄な努力を重ねていますね。
あちこち足を取られながらも甲板を積層中・・・・・。
 パドル(外輪)の取り付け。
初期の仮組みの時点で発覚していましたが、キットの取り付け位置だとパドルが全く水面に触れることも出来ない上部に来てしまいます。
取り付けも接着ではなくパドルセンターの穴にガイドを差し込んだ上カバーで押さえて回転可能にする様なギミックになっています。
が・・・ガイドの棒がぶっとくて変形しているので、差し込もうにもキチキチで入っていきませんね。(笑!)
それでまず写真や絵などを参考に水中に入る部分のパドルの位置を特定しました。
意外と浅い感じでせいぜい1mも無いくらいに見えます。
そこでまず、だいたいのあたりをつけて鋸でパドルの下部を切断。水平を取ってからセンターに開いているガイド受けの大穴にランナーを詰め込んで接着。本体側のガイドはリューターの丸鋸で切断して、パドルにぶつからないように加工。
パドルの埋めたセンター穴にピンバイスで1mmの穴を開けて真鍮線を差し込みます。
そしてこの真鍮線の端に色をつけ、置いた船体に水平に近づけて色を点づけし、受けの穴位置を特定。
後は差し込むだけです。
しかし・・・苦労の割にはちょっとしか見えないのも・・・なんともはやです。
後、忘れていた喫水線下部の赤色も塗装。
 全ての甲板に緩い傾斜がかかっていて、そのラインに合わせて接着するのですが・・・何故か一番上だけ傾斜が付いてない!
お湯に突っ込んで揉んでみましたが、あんまり効果はなく、仕方ないので前後を瞬着でガッチリ固定してから、ゼリー瞬着をわずかな接合箇所に塗りこんで重しをのせて固定。
軽くして乗せたら、全然くっつかず、目いっぱいにしたら、なにか全体がミシミシ言い始めたので、適当に水を抜いて放置。
一晩置いてみたらなんとかくっついていたのですが、その内経年劣化で崩壊することになるのではと危惧しています。
 デリックの工作です。
デリック自体は出来たのですが、これにたかっている動線につながる滑車!
小さいスケールですと無視したり、接着剤でポチッと点をつけて誤魔化していましたが・・・そこそこの大きさがあるのでシカトするわけにもいかず、めんどい部分の工作をやってます。
まず手ごろな太さのランナーをヤスリで断面を楕円形に仕上げ、輪切りにします。
カットした両面に縛った糸を接着して取り付け側を作るのですが・・・
いやもう、小さくて目が潰れそうです。
デリック本体は慎重に前後関係を見ながら穴を開けて設置。(キットの穴位置だと動けない構造に…)
どうも渡す場所によってグルグル回るような感じですので、ちょっと開いた感じにしてみました。
立てた後資料を見ると2段目のデッキとスティ2本で繋がっていたので、FRP棒で追加。
ガッチリ付いたところで、上甲板にリギングを展張。
最後に塗装しておいた旗竿とボートダビットも取り付け。
段々形になってきたようです。
 渡り板は下側のモールドは有るのですが、上側はつるっとして板目もなにも有りません。
これ結構このタイプの川船の目立つ場所なので、これはちといただけませんね。
それで板目を筋彫ろうかと思いましたら、丁度良いエバーグリーンの甲板用の部材がありましたので、切り取って張り付け。渡り板の手摺はいつぞや購入して放置してあった、1/200用三段手摺のエッチングを一段分切って使用。
なにせ約1/270なんてスケールのものなんて聞いたことも無いですから。
渡り板を吊る部分はチェーンになっているようなので、在庫から合いそうなのを物色して製作。今までチェーンなんか軍艦のアンカーでしか使ったことが無いので、形になるよう工作するのは初めて。
これが意外と重さがあったりスルスル動くので難儀しました。
デリックとの接合は先につけておいた滑車を介して取り付け。
ピンバイスで滑車に穴をうがち、極細のナイロンテグスで結びました。
渡り板の接合部は板の真ん中あたりに鎖が来るようになるはずですが、どうも板の寸法が小さいのか、少し前側になってしまいました。
板は根元に真鍮線をうって、船体と仮合わせをしながらチェーンを取り付け、さらに先端から固定用の索を船体に引いて角度を決めてから接着です。どうでしょうか?かなり強引な製作ですが、それっぽく見えてきたのではないかと思います。

通気塔?
資料を見ると2本の主煙突と2本の蒸気捨管・・・のほかになにか背の高い通気塔みたいなのがあちこちに。
部品を探してみましたが、そういう部品は入っておらず、再度上甲板をみるとなにやらイボの様なものがあちこちに・・・。
どうもこれが通気塔のつもりのようで、塗り分けをする時はなにかの基部だと思って白く塗っていましたので、全然気がつきませんでした。
仕方ないので、プラ棒で適当に似た感じのを作ってセット。
トップの円錐形の雨よけみたいなのは・・・・結構苦労しました。(ガタガタです・・・)
この基部、あちこちに有るのですが、参考写真と位置関係がだいぶ違い、さらに最上部の甲板にかかっていたりして・・・最初から気がついていれば削り取とっちゃったんですけどね。

 
 今回は電飾を仕込んでみましたが・・・中ががらんどうなので全体的に発光してしまい、いまいちな感じです。
(色が白なのでじゃなり透けて見えてます)
千と千尋の物語に出てきた神様の乗る船みたいという方も…。
 

 
製作 kudopapa@副長 
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