1/300 China northern fleet Ding Yuan class armoured turret ship      清国 北洋水師  定遠級装甲砲塔艦
西欧の列強がアジアへ次々と押し寄せる19世紀後半。
列強から国を守るために海軍力の増強が急務と考えた清国は、近代的な装甲艦の「定遠」と姉妹艦「鎮遠」を共にドイツに発注。
両艦はシュテッティンのフルカン造船所で建設されたが、清仏戦争の影響で戦争終結後の1885年10月に清国北洋水師旗艦として就役。
1886年には朝鮮、ロシア、日本を歴訪。
日本訪問の際には、その強大さから日本中がパニックを起こし、その後の日本海軍の増強が一気に進んだとも言われている。

日清戦争の黄海海戦では日本艦隊から159発の命中弾を受けるが、強固な装甲のため死者17人負傷者38人を出したのみで、逆に姉妹間の「鎮遠」が放った主砲弾が日本艦隊旗艦「松島」に命中し、松島は撃沈寸前の大被害を被った。
黄海海戦をくぐり抜けた定遠は1895年2月5日日本海軍水雷艇の雷撃を受けて威海衛で擱座。なおも砲台として戦闘を継続したものの9日には陸上からの攻撃を受け損傷した。
翌10日、日本軍による捕獲を避けるために自沈。残骸は、後日引き上げられた。



『六年前に買い損ねていた正徳福模型1/300「定遠」キットですが「無限蒸気艦」サイトで拝見して製作意欲が湧きました。
キットを入手するまで色々と製作アイデアを練り、折しもkudopapa@副長様からキットを贈呈して頂き製作に掛かる事が出来ました。

少ない写真資料などを基に実物とはかなり違う「定遠」キットを大改造した結果、キットのまま使用したパーツは皆無です。
特に今回は鉄道模型用ストラクチャー材「STウッド」を甲板に接着し、難しい木甲板表現を比較的楽に、また奇麗に出来た事が私にとっては新機軸でした。

細かな表現や寸法などは再現出来なかったかも知れませんが、実物のシルエットにかなり近づける事が出来たと満足しております。
これもひとえにキットを提供して頂いたkudopapa@副長様、製作の応援をして頂いた皆様のおかげだと感謝しております。』

『知ってはいましたがキットそのものは実物とは「似て非なる」物で、エレールや旧レベル製品と遜色のない程の「イモキット」です。少しは新興東欧圏の模型メーカーを見習って欲しいと思います。ちなみに本国では愛国心を養うためのキットのようです。』

『船体の形状や艦底パーツと洋上パーツのつなぎ目をエポキシパテやプラ板で埋めて丁寧に成形しました。
砲塔舷側下部のバルジをプラ板などで作り、不要な舷窓モールドもパテで埋めます。』

『衝角の補強材やホースパイプ周りの装着物も自作、省略されている艦首紋章モールドは艦尾のモールドを「型想い」とパテで複製し製作しました。』


『塗装は悩みましたが船体洋上部分を黒と白、艦底を鮮やかな赤で塗り分けしてみました。
しかし実物の船体洋上は白黒の塗り分けが無く、黒もしくは濃いグレーなどの単色で塗られていたのではないかと推測します。
黒と白では墨入れしても目立たないので舷窓周りの蓋を更に白黒で塗別しました。


木甲板部分は「STウッド」が大活躍。1.5mmX30mm程度の短冊状に切り出し、隣どうし互い違いになるように接着します。
このときワザと若干隙間を空け気味に貼ると間隔が出来てより木甲板らしくなります。』


『甲板の構造物は写真資料が殆ど無いのでレジンキットの画像を参考にして適当に製作しました。
また、艦橋の甲板も木材を貼りましたが、これぞまさに「フライングデッキ」と言える物だと思います。』
『煙突やマストも全てプラ材からの自作品です。
大通風等はハセガワの1/350「三笠」の物を流用、艦載艇はズヴェズダーの1/350「ボロディノ」級の物を使用しました。
高い位置の物は黄色で塗別しました。
また舷側のY字型の装着物は洗い場の汚水シュートだと思われます。小口径砲もプラ材を何種類か使ってそれらしく自作しました。』



『全体にエデュアルド製1/350エッチング手摺りを貼りました。
因みにこのエッチング手摺りはコシが無く扱いにくいのでお勧めしません。
前檣の国旗はキットの物ですが艦尾の物はサイトで画像を拾いプリンターで印刷したものです。
紋章モールドとプロペラをMr.メタルカラー「ブラス」で、アンカーとアンカーチェーンをMr.メタルカラー「アイアン」で塗って磨いています。』

艦中央部。
巨大な砲が不気味ですね。
矩形配置のため両砲塔とも直進しながらの発砲が可能。

艦尾。
艦尾副砲塔の下には、清国王朝の龍の紋章が光ります。
武装は主砲4門の他に150mm砲 2門 、57mm速射砲 2門 、47mm速射砲 2門 、37mm砲 8門 と艦載水雷艇3隻の搭載も可能。
艦首には巨大でドキドキするような衝角 が 装備されていました。
クルップ製30.5cm25口径連装主砲。
日清戦争の黄海海戦では定遠の姉妹艦「鎮遠」の主砲弾が日本海軍旗艦の「松島」を直撃。
装薬が引火爆発して撃沈寸前の大被害を出しました。
製作  Akagichanckii,